かつて、日本からヨーロッパへの「最短最速」ルートとして名を馳せたフィンエアー。しかし、国際情勢の変化により、その翼は新たな航路を切り開きました。ロシア上空を迂回し、北極圏を越える新ルート。かつて9時間半だった飛行時間は、今や約13時間に。この長くなった空の旅を、フィンエアーはどのように「最高の体験」へと昇華させたのか?
その答えが、革新的な最新ビジネスクラス「AirLounge(エアラウンジ)」にありました。2025年7月、本格的な夏のバカンスシーズンに搭乗したAY62便 羽田発ヘルシンキ行き。今回は、そのフライトで体験した、異次元の快適性を誇るビジネスクラスの全貌から、気になる食事やドリンクメニュー、さらにはプレミアムエコノミー、エコノミークラスの様子まで、撮りためた全ての写真と共に、余すところなくお届けします。
1. 圧巻の空間美。フィンエアーA350、クラス別シート探訪
まずは、今回の旅の舞台となるエアバスA350のシートをクラス別に見ていきましょう。
【ビジネスクラス】これが「座席」の最終形態。自分だけの空間「AirLounge」
機内に足を踏み入れた瞬間、その異次元のデザインに息を呑みます。濃紺と白、そして木目調のアクセントが織りなす空間は、まるで北欧のモダンなラウンジのよう。
こちらが噂の「AirLounge」。リクライニング機能を敢えてなくし、広大なソファのような空間を生み出した逆転の発想。高いシェルに囲まれ、プライバシーは完璧。座る、あぐらをかく、寝転がる…13時間のフライトを、その時々の気分で自由な姿勢で過ごせます。
就寝時は、この広大な空間がそのままフルフラットベッドに。マリメッコの美しいデザインの布団と枕に包まれれば、そこはもう天空の寝室です。
【プレミアムエコノミー】ワンランク上の快適性を。ゆとりの新設クラス
ビジネスクラスの後方には、今回新たに導入されたプレミアムエコノミークラスが。エコノミーより約18cmも広いシートピッチ(座席の前後間隔)と、脚全体を支えるレッグレストが長距離フライトの疲れを軽減してくれます。
【エコノミークラス】快適性を追求した標準シート
3-3-3配列のエコノミークラス。人間工学に基づいて設計されたシートは、薄型ながらもホールド感があり、エコノミーといえど快適性は高そうです。各席に置かれたマリメッコのクッションが、旅の気分を華やかにしてくれます。
2. 五感で味わうフィンランド。空の上の美食体験
13時間という長いフライトの最大の楽しみが食事。フィンエアーは、味覚でもフィンランドらしさを存分に感じさせてくれました。
始まりを告げる、象徴的な一杯
離陸後、最初のドリンク。フィンランドが世界に誇るデザインブランド「イッタラ」の、伝説的な「ウルティマ・ツーレ」グラスで提供されます。この、氷が溶ける様を表現した美しいグラスで頂く一杯は、まさにフィンエアー体験の幕開けです。
気になるディナーメニューを全公開!
メニューブックも北欧らしい、シンプルで洗練されたデザイン。日本語表記もあるので安心です。
この日のディナーは、前菜2種とメインディッシュから選ぶスタイル。トレーで一度に提供されます。
前菜:「帆立のムースとサフランポテトサラダ」「彩り野菜のテリーヌ トマトオイルとフレンチセロリ」の2種類。どちらも彩り豊かで、シャンパンが進む味わいです。
メインディッシュ:「鶏胸肉のロースト」「カジキの塩麹焼き」「ラザニア」からの選択。私は鶏胸肉をチョイス。しっとりと柔らかく、絶品でした。
ドリンク&ワインリストを徹底チェック!
メニューを詳しく見てみましょう。シャンパンは「ジョセフ・ペリエ キュヴェ・ロワイヤル・ブリュット」。白、赤ワインもフランス、イタリア、スペイン産などがバランス良く揃います。
特筆すべきは、フィンランドのクラフトジン「キュロ」を使ったジントニックや、フィンランド産ウォッカのカクテル、そしてベリージュースのモクテル(ノンアルコールカクテル)「Northern Blush」。フィンランドならではの味覚が楽しめます。
優しい味わいの朝食
長い夜が明け、ヘルシンキ到着前に提供される朝食。この日はエッグベネディクト、ソーセージ、マッシュルーム。そして日本の「高千穂牧場」のヨーグルトも。心も体も優しく目覚めるメニューです。
3. 細部に宿る神。考え抜かれた機能性とアメニティ
AirLoungeの魅力は、その快適な空間だけでなく、徹底的に考え抜かれた機能性にもあります。
手元の収納にはノイズキャンセリングヘッドフォンが。サイドテーブル下の巨大な収納スペースには、PCやカメラ、本など、あらゆる手荷物が収まります。
電源はUSB-A、USB-C、ユニバーサルコンセントを完備。13時間のフライトでも、デバイスの充電切れの心配は皆無です。
マリメッコデザインのポーチに入ったアメニティキットと、ふかふかのスリッパは長旅の必需品。そして清潔なラバトリーには、フィンランドのナチュラルコスメ「SEES」の製品が。優しい香りに癒されます。
ラバトリーも常に清潔に保たれており、快適に利用できました。
結論:13時間の長旅こそ、フィンエアーの真価が問われる
長くなったからこそ、その価値はより一層輝きを増す。フィンエアーの最新ビジネスクラスは、まさにそんな言葉がぴったりの体験でした。単に快適なだけでなく、随所にフィンランドのデザイン、文化、そしておもてなしの心を感じることができる。それは移動時間でさえも、忘れられない旅の思い出の一部に変えてくれました。
ヨーロッパへの扉を開くとき、この「空飛ぶ北欧の特等席」は、間違いなくあなたの旅を数ランク上に引き上げてくれる、最高の選択肢となるでしょう。